FXが取引対象とするのは為替市場ですが、為替市場のトレンド、コンセンサスを理解する上では、金利とともに見逃せないのが株式市場です。為替市場に大きな影響を与えるためです。為替市場でとくに材料となるニュースや経済指標の発表がないのに市場が動いているとき、往々にして株式市場に答えがあります。
例えば、2013年3月6日の日本時間深夜、米ドル/円は2週間ぶりに94円台を回復しましたが、為替市場に材料はありませんでした。ところが米国株式市場はダウ平均が史上最高値を更新するなど非常に好調でした。米国株の上昇が日経平均先物の上昇を誘い、さらに為替市場に波及したのです。
こうした解説は「あとづけ」のように聞こえるかもしれませんが、米国株式市場の動向を注視しておくことで「市場参加者の心理」を推し量ることができます。米国株が上昇していれば、世界中の投資家は積極的にリスクをとりに行きます。株や原油、それに高金利通貨や新興国通貨といった、いわゆる「リスクアセット」が買われやすくなります。「リスクオン」の状態です。米ドル/円の上昇を狙って短期で取引するならば、米国株が堅調なリスクオンの日のほうが効率はよいでしょうか。
一方で、米国株が不調だと「リスクオフ」となり、投資家は弱気になり、リスクオンで買われやすくなったリスクアセットは売られやすくなり、安全氏の高いドイツ国債や米国債、それに日本国債などが買われやすくなります。以前はリスクオフでかわれる通貨の代表格が円でしたが、2012年末からの円安相場以降、傾向が変わってきたようです。
リスクオン/リスクオフという単語は相場の解説に便利なため使われることが多いのですが、リスクオンで買われる通貨とリスクオフで買われる通貨は状況により変わっていくものです。あまり「リスクオン/オフの公式」にこだわりすぎないほうがいいでしょう。
とはいえ、米ドル/円を買っては売り、買っては売りを繰り返す、いわゆるロング回転させた短期取引なら米国株が堅調なリスクオンのほうが効率はいいでしょうし、逆に米国株が不調な日はショートに切り替えたり、米国株式市場の動きを見て「その日のムード」を知っておくことに損はありません。
参考にしてみてください。
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